ある日、難民が来た。
追い払っても一向出ていく様子がない。
ここでなければ駄目だと言う。
家賃の替わりに私を育てるつもりだと言う。
食事をして風呂に入って洗濯をして、
彼等は私以上にこの家に馴染んでいる。夜にはヒソヒソ、会議の声が洩れてくる…。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
引きこもり女の部屋に、理想の同居人が4人やってくる。
彼らは自分たちを「難民」と称し、部屋に居座る。
被害者面をしつつも、嬉しい引きこもり女。
これで外に出なくたって楽しいし。
部屋にはおばあちゃんもやってくる。
おばあちゃんはボケていて、引きこもり女を外に連れ出そうとばかりする。
「しょうがないなぁ」と言いつつ、
でもおばあちゃんは私に100%関わってくれるから、好き。
しかし難民もおばあちゃんも、全て引きこもり女の妄想で。
自分の中の狂気はおばあちゃんに、
向き合いたくない問題は難民たちに請け負わせ、
二階に引きこもる女。
難民たちは時折一階に降りていっては、
引きこもり女が立ち向かうことを拒否したしんどさを代わりに吐き出している。
その愚痴を飲み込み続ける赤ん坊は、異常なスピードで成長してゆく。
その過程で難民たちとおばあちゃんは、
引きこもり女の脳内自分会議の登場人物ではなく、
独立した別個の人格となって、彼女の脳内を去ってゆく。
物ばかりあって他者のいない部屋に残された引きこもり女は、観客を虚構の世界に取り残し、
自身もリアルな外の世界へと出てゆく。
0 件のコメント:
コメントを投稿